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ブルーラジカル治療の安全性:「過酸化水素水と無カタラーゼ症」について
〜安全性と、まれな注意点も含めてご説明します〜
村川歯科では、ブルーラジカル歯周病菌殺菌治療を行っております。「ブルーラジカルP-01」は、2023年 厚生労働省より医療機器製造販売承認(薬事承認)を取得しています。
ブルーラジカル治療は、歯ぐきを切らずに、痛みを抑えて、お口の奥深くに潜む細菌を殺菌する新しい治療法です。歯周ポケットに超音波振動とラジカル殺菌を同時に行います。 3%過酸化水素水に405nm青色レーザー光を当てることで発生するヒドロキシラジカルという活性酸素の強い酸化力で殺菌します。 ブルーラジカル治療で生成されるヒドロキシラジカルは、治療後即座に消失するため副作用のリスクが低く安全性の高い治療法です。また、薬剤耐性菌を生まず、歯周病の原因菌を効率よく殺菌・除去します。
ブルーラジカル治療に使われている薬剤が、「過酸化水素水」です。
「薬を使うと聞いて、ちょっと不安…」という方もいらっしゃるかもしれませんので、
今回はブルーラジカルで使用する過酸化水素水の安全性について、わかりやすくご説明いたします。

使用するのは「3%過酸化水素水」
過酸化水素水は、消毒にも使われてきた安全性の高い薬剤です。
ブルーラジカル治療では、その中でも濃度3%の低濃度タイプを使用しています。
ホワイトニングなどで使われる高濃度(10~35%)の過酸化水素水とは異なり、歯や歯ぐきへの刺激が少なく、短時間で使用するため、安心してお受けいただけます。
歯がもろくなる心配はありません
「過酸化水素水は歯にダメージがあるのでは?」というご質問をいただくことがあります。
結論として、ブルーラジカル治療で使用する過酸化水素水は、歯をもろくする心配はありません。
適切な濃度(3%)と、照射時間(1歯あたり短時間)を厳密に管理しており、お口にやさしく、細菌だけをしっかり除去するよう特別に設計されています。
ごくまれな体質「無カタラーゼ症」の方には注意が必要です
過酸化水素水は、体内の「カタラーゼ」という酸素の働きによって、水と酸素に分解され、自然に無害化されます。無カタラーゼ症の発症割合は、0,001%以下と極めて低確率です。日本では約10万人に1人が発症し、常染色体劣性遺伝により両親から遺伝子変異を受け継ぐことで発症します。片方のみの変異では「低カタラーゼ症」と呼ばれ、多くは無症状です。
ただし、「無カタラーゼ症(カタラーゼ欠損症)」という体質の方はこの酵素が不足しており、過酸化水素水をうまく分解できず、口の中にただれや炎症が起こる可能性があります。過酸化水素水を生まれつき分解することができない疾患といえます。
日本には非常にまれな体質ですが、下記のような経験がある方は、必ず事前にお知らせください。
・過去にうがい薬やホワイトニングで、口の中に強い痛みやただれが出たことがある
・消毒薬で「強くしみた」「口の中が荒れた」などの経験がある
・過去にケガをしてオキシドール(過酸化水素水)を付けた際に泡が出なかった方
・家族に無カタラーゼ症の方がいる方
「高原氏病(takahara`s disease)」とは?
この体質は、日本で報告された先天性の病気「高原氏病」として知られています。
子供のころから口の中にびらんや炎症を繰り返す特徴があり、このような背景をお持ちな方は、過酸化水素水の使用にご注意いただく必要があります。
このような場合には、ブルーラジカル以外の治療方法をご提案することも可能です。
安心して治療を受けていただくために
注意していただきたい症状
・喉のヒリヒリ感や強いしみ
・飲み込みにくさや声のかすれ
・首のリンパの腫れや痛み
・発熱や違和感が長く続く など
これらの症状がみられる場合には、念のため早めの受診をおすすめしています。
ブルーラジカル治療は、全ての方に適用できるわけではありません。特に、無カタラーゼ症の方には、ブルーラジカル治療の適用外となります。その他、以下のような方も適用外となることがあります。
・妊娠中の方
※処置に際して局所麻酔、過酸化水素水を使うため、慎重に判断する必要があります。
・ペースメーカーを使用してる方
※ペースメーカーへの影響
1. 一般的な歯科用超音波機器とペースメーカー
• 超音波スケーラー、電気メス、高周波治療器などでは「電磁干渉(EMI)」の懸念があります。
• ペースメーカーは電磁波や強い磁場に反応する可能性があり、過去には古い機種で不整脈や作動不良が報告されました。
• ただし、ペースメーカーはシールド機能が強化されており、歯科超音波機器の影響は極めてまれとされています。
2. ブルーラジカルP-01の場合
• 使用するのは「超音波振動」であり、電磁波を強く発生させる機器ではありません。
• 全ての患者さまの治療中は患者さまの脈拍や体調を観察し、違和感があれば中止できるように配慮することが推奨されます。
・光過敏性の方
※光過敏症(フォトセンシティビティ)との関係
1. 一般的な光過敏症の原因
• 紫外線(UV-A, UV-B)による皮膚や粘膜の反応
• 光増感物質(薬剤や疾患に伴うポルフィリンなど)が体内にある場合に発症
• 抗菌薬(テトラサイクリン系)、利尿薬、抗真菌薬などの内服薬で誘発されるケースもあります。
2. 405nm青色レーザーのリスク
• 405nmは「可視光」の範囲であり、典型的な紫外線光過敏症を誘発する波長域(300〜400nm以下)からは外れています。
• ただし、まれに光線過敏症を起こしやすい体質や薬剤服用中の方では、理論的に感受性が高まる可能性があります。
3. 歯科領域での配慮
• 治療時は歯周ポケット内部に光を照射するため、皮膚や眼に直接曝露することは基本的にありません。
• 患者さまの服薬歴(特に光線過敏を起こしやすい薬)も確認が必要です。
• 術者・患者さまともに保護メガネを装着することで眼への安全性が確保されます。
ブルーラジカル治療では、薬剤の濃度や照射時間、使用範囲をすべて細かく管理し、患者さまの安全に最大限の配慮を行っております。
ご不安なことがあれば、どんな小さなことでも、どうぞお気軽にご相談ください。
新しいやさしい治療
切らずに、痛みを抑えて、しっかり細菌。
ブルーラジカル治療は、これからの歯周病治療における新しい選択肢です。
お口のことでお悩みがありましたら、ぜひ一度、村川歯科へご相談ください。
